個人再生よくあるご質問
個人再生に関する疑問や借金問題のお悩みにお答えします。
1問1答 最新記事
- Q1.個人再生とは、何ですか?
- A1.
個人再生は、現在の借金総額について最低5分の1を3年で支払う制度のことを言います。
(但し、最低100万円は返済しなければなりません) - Q2.個人再生は借金がいくらであっても利用することができますか?
- A2.
いいえ。借金総額が5000万円までの方しか利用できません。
- Q3.個人再生のメリットは何ですか?
- A3.
個人再生手続きは、とても債務者(お金を借りた人)に優しい制度で、今後利用する方が増えていくことが見込まれています。
それは、まず住宅ローンの返済中の場合、住宅を残すことができます。
つまり、今まで通り、ご自宅に住み続けることができるわけです。また、借金をした経緯の中に、ギャンブルや浪費がある場合、自己破産をすることはできませんが、個人再生はすることができます。
そして、自己破産をすると制限される職業も制限がありません。 - Q4.弁護士費用はどうやって払うのですか?
- A4.
家計に無理のない範囲で、毎月分割払いでのお支払いができます。
- Q5.分割払いは毎月おいくらになるのでしょうか?
- A5.
お客様の借金額によります。
個人再生では、裁判所の認可決定後、減額した借金を原則として3年間で弁済していきます。そこで、毎月の弁護士費用の分割額は、想定される認可決定後の返済額を指標としてご提案しております。例えば、(住宅ローン以外の)借金が700万円のお客様が個人再生をする場合、再生後に返済する借金額を140万円と想定します。この場合、140万円を3年かけて返済することになるので、毎月の返済額は、3万9000円程度になりますので、弁護士費用の分割額を毎月39,000円程度でご提案いたします。
- Q6.裁判所に納める費用はいつまでに用意すればよいですか。
- A6.
裁判所への申し立て時です。ご依頼から約6か月後を目途に申し立てをしますので、それまでに弁護士費用の分割払い額とは別にご用意いただく必要があります。
- Q7.個人再生だと、実際どれくらいの返済になるのですか?
- A7.
まず、借金総額が100万円から500万円の間で、小規模個人再生を選択すると、月々2万8000円の36回払いになる計画をたてることが可能です。
つまり、100万円を36回払いにする計算となり、残りの借金は免除されるわけです。
- Q8.個人再生を弁護士さんに依頼する必要はありますか?
- A8.
個人再生は、とても良い制度であるにもかかわらず、手続きが面倒なことから、弁護士さんの中でも敬遠する方が多いのが現状です。
ですから、法律の知識があまり無い方が、個人再生を申し立てるのは、少し難しいかも知れません。 - Q9.個人再生で気をつけなければならない点はありますか?
- A9.
個人再生は、残念ながら他の借金整理の方法にはない、大きな欠点があります。
それは、裁判所を通して決められた、毎月の返済ができなくなってしまうと、自動的に破産手続きに移行される場合があるからです。
ですから、是非無理のない返済計画で、36回の支払を乗り切って欲しいと思います。 - Q10.無理のない返済計画とは、どのような計画ですか?
- A10.
まず、毎月の家計の状況で、5万円程度余裕がある方が、この制度を利用して良いと思います。
つまり、ぎりぎり3万円しか余裕のない方が、突然の出費で1万円しか手元に残らなかったと言っても、債権者(お金を貸した人)は許してくれません。
36回は、頑張って毎月3万円の返済を行える方でなければ、この制度を利用するのは危険なのです。
- Q11.個人再生では毎月の返済ができないとどうなるのですか?
- A11.
破産宣告が強制的になされる可能性が高いのです。
そうなると、また弁護士さんにお願いして、破産手続きを取ってもらわなければならないので、弁護士費用も二重にかかってしまうことになります。 - Q12.個人再生には、2種類の制度があると聞いたのですが?
- A12.
はい。個人再生には、給与所得者等再生という制度と、小規模個人再生という制度の2種類があります。
- Q13.個人再生の中の給与所得者等再生はどのような人が利用するのですか?
- A13.
簡単に言いますと、サラリーマンのような、毎月安定的な収入であって、収入の変動の幅が小さい方です。
- Q14.返済期間終了後、残りの借金はどうなりますか?
- A14.
3~5年間の返済期間中、無事に計画通り返済した場合、借金は免除になります。
小規模個人再生は貸金業者に対し、借金が返せない現状の説明と借金額の数分の一を返済する約束をします。自己破産して全額の支払いができないよりは、数分の一でも回収できたほうがよいと貸主に減額を同意してもらって成り立つ制度です。
- Q15.誰が個人再生の許可を出しますか?(小規模個人再生)
- A15.
小規模個人再生の場合債権者と裁判所の両方です。
貸金業者(債権者)の許可が前提となります。次に裁判所へ申請し認可決定をもらって個人再生が成立します。主な決定権は債権者にあり、裁判所から不許可決定が出るのは不認可事由がある場合のみです。
- Q16.不認可事由とは何ですか?①
- A16.
個人再生計画の許可を裁判所へ申請した時に、不認可事由に該当していると不許可になります。給与所得者等再生の場合(個人再生の中の給与所得者等再生はどのような人が利用するのですか?参照)の不認可事由は以下の項目です。
▶"安定した収入があり、収入の変動が少ない者"に該当しない
▶計画中の返済総額が可処分所要要件に満たない
▶過去7年間に給与所得者等再生で個人再生している
▶過去7年間にハードシップ免責決定を受けている
▶過去7年間に自己破産し、免責されてる - Q17.誰が個人再生の許可を出しますか?(給与所得者等再生)
- A17.
小規模個人再生と違い、給与所得者等再生は、貸主の同意がなくても利用できます。
裁判所のみの許可によって成立します。可処分所得額といわれる再生計画の中の返済額が法律によって既に定められているからです。
貸主は意義がある場合に裁判所へ意見することができますが、証拠確認が行われ、最終的な決定は裁判所によってなされます。
- Q18.債権者決議とはなんですか?
- A18.
小規模個人再生の場合、貸主の同意・許可が必要です。(誰が個人再生の許可を出しますか?参照)その同意を得るために、書面によって貸主からの回答を求めるのが債権者決議とよばれています。
半数以下の同意しか得られない場合や、借金額の半分に値する分の貸主が同意しない場合は債権者決議は否決とされ、個人再生計画は不許可ということになります。
- Q19.どのような職が給与所得者等再生に相当しますか?
- A19.
具体的に、給与所得者等再生の対象になるのは以下のような人です。
▶歩合制給料であっても、実績に大きな幅がない場合
▶契約社員であっても、契約が更新が確実
▶年金受給者
▶就職内定者
▶継続的パートタイマー
定職、安定収入が審査されます。(個人再生の中の給与所得者等再生はどのような人が利用するのですか?参照) - Q20.個人民事再生の申請書類はどこでもらえますか?
- A20.
裁判所でもらえます。最高裁書式、東京、大阪とそれぞれで多少違った書式で用意されています。申立て書類は一式あります。必要な書類がすべてそろっていることを確認することが大切です。
申立て先の裁判所にどの書式を利用するか尋ねます。会社であれば事務所の所在地、個人であれば現在の住所地を管轄している地方裁判所が申立て先の裁判所です。
- Q21.再生債権とはなんですか?
- A21.
再生債権とは、「再生手続き開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権」と定義されており、つまり背負っている借金のことです。再生債権に以下のものは含まれません。
▶共益債権
▶一般優先債権
▶担保付債権こうした債権以外の借金を、個人再生計画に沿って返済していくことになります。
- Q22.再生計画の変更はできますか?
- A22.
変更申立ては可能ですが、返済額の変更は不可能です。
返済期間の延長のみ考慮されます。延長されても、2年間が限度です。個人再生計画は基本3年間でたてられます。特別な事情がある場合、再生計画が5年間でも認められることもありますので、再生計画の期間変更が認められると、最長で7年間返済することになります。
- Q23.ハードシップ免責とはなんですか?
- A23.
個人再生計画に沿って返済中に、事情が変わり支払いができなくなることがあります。本人に責任がない場合、ハードシップ免責を申し立てることができます。認められると、残りの返済を免除する制度です。
裁判所が決定します。いくつかの厳しい条件があります。個人再生制度の特徴的な制度といえます。
- Q24.ハードシップ免責の条件は何ですか?①
- A24.
ハードシップ免責を受けるためには、いくつかの厳しい用件があります。前提となるのが、再生計画を遂行が「極めて」困難になり、その責任が本人にない場合です。たとえば以下のような事情があてはまるといえます。
▶会社が倒産し、再就職の見通しが非常に厳しい
▶病気のため長期入院し、いつ復職できるかわからない裁判所が、ハードシップ免責に相応するかどうか、その時の事情に応じて判断を下します。
- Q25.ハードシップ免責の条件は何ですか?②
- A25.
ハードシップ免責は、予想していなかった場合の特例の制度といえます。以下の条件を満たしていることも必要です。
▶自己再生計画の変更も極めて困難な状況(再生計画の変更はできますか参照)
▶本来の再生計画のうち四分の三はすでに返済されている
▶ハードシップ免責によって本人が利益を得るわけではないおおかたの借金をすでに返していることが条件となっているため、ハードシップ免責を受けるのは非常に厳しくなっています。
- Q26.一般優先債権とは何ですか?
- A26.
一般優先債権は再生債権から除外されるので、再生計画に含めることができません。つまり、個人再生とは別で、支払い義務が残るものです。
以下のものが一般優先債権です
▶税金(所得税・住民税)
▶保険料(健康保険・国民年金)
▶雇い人がいる場合の給料
▶再生手続きの手数料
▶罰金など - Q27.清算価値保障制度とは?
- A27.
個人再生計画を立てるに当たり、清算価値保障制度に沿っている必要があります。これは以下の条件を保証する制度です。
▶個人再生計画によって弁済する総額が最低弁済額以上であること
▶個人再生計画によって弁済する総額が借金者の持つ財産の価値以上であること自己破産の場合、借金者の財産を換金して分配されます。そのかわり、個人再生においては借金者の財産の清算価値(清算価値にはどんなものが含まれますか?①参照)を算出し、その財産分は本人が弁済するよう清算価値保障制度によって定められています。
- Q28.清算価値にはどんなものが含まれますか?①
- A28.
前述の清算価値保障制度によって、本人の財産に対して再生計画が妥当かどうか保証されています。清算価値の算出に際して含まれる財産は以下のものです。
▶預貯金(控除されたもの)
▶回収が見込まれる貸付金
▶積立金など(担保にされていないもの)
▶退職金(見込まれる額の8分の1)
▶保険解約金 - Q29.清算価値にはどんなものが含まれますか?②
- A29.
清算価値にはどんなものが含まれますか?①に続いて、個人再生の手続きにおいて、価値相当の支払いをする必要のある本人の財産にかぞえられるものは以下の通りです。
▶有価証券
▶電話加入権
▶自動車・バイク
▶高価品など
▶不動産
すべて時価での計算になります。 - Q30.清算価値にはどんなものが含まれますか?③
- A30.
清算価値と財産目録はほぼ同じ内容です。本人が、個人再生によって免責される額に分不相応な財産を所有することを制限している清算価値の原則に沿って計算する際に以下のものも含まれます。(清算価値にはどんなものが含まれますか?②に引き続き)
▶返金が見込まれる敷金
▶動産
▶回収が見込まれる売掛金
▶受取手形 - Q31.必要な申立て書類は何ですか?(小規模個人再生の場合)
- A31.
個人再生の手続きは簡略化されているとはいえ、裁判所へ申立てる際に必要な書類がいくつかあります。おもな申立て書類です。
▶再生再生手続き開始申立書
▶陳述書(陳述書には何を記入しますか?参照)
▶家計状況
▶資金繰り表
▶財産目録
▶債権者一覧表
▶添付書類以上は小規模個人再生を申し立てる場合の必要書類です。書式が用意されています。(個人民事再生の申請書類はどこでもらえますか?参照)
- Q32.個人再生手続き中の支払いはどうなりますか?
- A32.
再生手続開始決定の後は、借金の支払いをすることは禁止されています。
振込などの方法で支払っていた場合はストップし、引き落としの場合は口座残高をゼロにするなど、支払いが泊まるようにする必要があります。勤務先への借金があり給料から差し引かれているなら、中止の申請をします。
手続きを弁護士や司法書士に依頼すると(個人再生を弁護士さんに依頼する必要はありますか?)そうした専門家が支払いをストップするよう手続き一切を行います。
- Q33.個人再生申立て時にかかる費用はいくらですか?
- A33.
小規模個人再生の場合
申立て印紙代・1万円分の印紙を申立書に貼付します。予納金は現金で1万2千円払います。この他に、裁判所から選任される再生委員に払う報酬が必要です。給与所得者等再生の場合
申立て手数料が1万円。予納金1万2千円かかります。予納金は官報に掲載するための費用です。上記費用のほかに、貸主への書類送付用の切手を納めます。切手の枚数や、報酬の額は申立て先の裁判所によって異なります。
- Q34.再生手続き開始決定後に何をする必要がありますか?
- A34.
自己再生申立てが認められ、再生手続き開始が決定すると、裁判所へ以下の報告書を提出する必要があります。提出期限は裁判所から知らされます。
▶財産状況等報告書(陳述書の内容の通りであることを認める旨)
▶本人の業務と財産の報告書(経過と現在の状況)
▶手続きにかかわる必要書類等申立ての際に最低限の書類提出を求める裁判所には、再生手続き開始決定後により詳細な情報を提出します。上記報告書に加えて、本人の職業や収入、借金の経緯、家族関係などの情報が必要です。申立て先の裁判所によって異なります。
- Q35.再生手続きはいつ確定しますか?
- A35.
裁判所から認可決定が出た時に確定します。決定後、裁判所は関与せず、再生計画通りの支払いをしていくことになります。
認可決定が出るタイミングが小規模個人再生と給与所得者等再生では違います。以下の通りです。
▶小規模個人再生
貸主が再生計画案に合意した時(誰が個人再生の許可を出しますか?参照)▶給与所得者等再生
貸主の意見聴取期間終了時、また不認可事由に相当しない場合 - Q36.可処分所得とはなんですか?
- A36.
可処分所得とは、実際に可能な借金の返済額のことです。毎月の収入から、税金や保険料、最低生活費を引いた残りの額が相当します。個人の状況によって算出額が異なります。生活費は以下の条件によって算出されます。
▶生活費(個人)
▶生活費(世帯)
▶冬季特別生活費(暖房費)
▶住居費
▶勤労必要経費どの地域に住んでいるかによっても異なった額が定められています。給与所得者等再生の場合、算出された可処分所得の最低2年分を返済する再生計画が必要です。
- Q37.共益債権とはなんですか?
- A37.
自己再生計画のとおりに返済していくために必要な費用のことを言います。以下のものが含まれます。
▶電気代・水道料金・ガス代
▶自営業であれば、営業に必要な経費共益債権は、個人再生計画において、減額もしくは免責の対象となる再生債権に含まれません。(再生債権とはなんですか?参照)
- Q38.貸主の合意が得られない場合はどうしたらいいですか?
- A38.
貸主の合意が得られないと個人再生は成立しません。小規模個人再生、給与所得者等再生のいずれの場合も、最低弁済額の基準と清算価値保障制度の両方の条件をクリアしている必要があります。
最初に提示した再生計画で合意してもらえない場合は、法律の最低額で設定されていることが多いと言えます。これらはあくまで最低基準なので、貸主の合意が得られない場合は、返済期間や返済額を変更します。特に小規模個人再生の場合は、最低基準よりももう少し多い額を返済できる可能性があります。貸主の意向を調査し、合意してもらえる条件を見つけていくことになります。
- Q39.債権評価とはなんですか?
- A39.
個人再生を申し立てた再生債権に異議があった場合に取られる調査・手続きのことです。
個人再生委員によって再調査がなされ、再生案に含まれる額が決まります。貸主が異議を申し立てることもあれば、そうでないこともあります。以下の書類の有無によって申立てをする人が異なります。
▶確定判決
▶和解調書
▶調停調書
▶執行証書 - Q40.二度目の個人再生申立ても可能ですか?
- A40.
可能です。
すでに個人再生計画にしたがって返済中でも、新規に再生手続きを進めることができます。とりわけ、ハードシップ免責や再生計画の変更(再生計画の変更はできますか?参照)の条件に当てはまるほどの経済状態ではない場合に、二度目の個人再生を申立てます。
現在返済中の再生案が支払えない経済状況の時にも二度目の個人再生を検討できます。
- Q41.再生計画取消とはどういう場合ですか?
- A41.
貸主が、再生者に対して裁判所へ個人再生の取り消しを申立てることがあります。貸主が取り消しを申立てるのは、再生者が合意した再生計画通りに返済していない場合です。
借金額の10分の1の額を貸している貸主が取り消しを申立てることができます。再生者から支払いを期限内に受けていない複数の貸主で申立てることも可能です。
再生期間の変更(再生計画の変更はできますか?参照)やハードシップ免責を受けられる理由(ハードシップ免責の条件は何ですか?①参照)がない状況で、再生計画通りの支払いをしていないと、貸主の申し立て通り、再生計画取り消しになってしまう可能性があります。
- Q42.不認可事由とは何ですか?②
- A42.
貸主の合意が得られた再生計画案は、裁判所でも認可される必要があります。(誰が個人再生の許可を出しますか?参照)その際、不認可事由に該当しないことが条件となります。
不認可事由とは何ですか?①内の給与所得者等再生の場合に対して、小規模個人再生の場合の不認可事由は以下の通りです。
再生計画、手続きが法律違反である
再生計画通りに返済される見込みがない
債権者との決議において不正があった
貸主の一般利益に反する再生計画の場合 - Q43.不認可事由とは何ですか?③
- A43.
不認可事由とは何ですか?②の続きです。小規模個人再生の手続きにおいて、裁判所から認可決定をもらうためには、以下の不認可事由に該当していないことが条件となります。
自己再生可能額が5000万円以上である(個人再生は借金がいくらであっても利用することができますか?参照)
再生計画による返済額が最低弁済額以下である
債権者一覧表に含めた住宅資金特別条項が再生計画に含まれていない
以上の条件に当てはまる場合、裁判所は申立てた個人再生計画に不認可決定を下します。 - Q44.個人再生手続きはいつ終わりますか?
- A44.
裁判所が認可決定を出した時点で個人再生手続きは終わりとなります。認可決定が出されるには以下の条件が必要です。
小規模個人再生の場合
個人再生計画案に貸主が合意した給与所得者等再生の場合
貸主からの意見聴取期間終了後いずれの場合も、不認可事由に相当していないことが審査されます。認可決定後は、再生案に従って返済していくことになりますが、計画の変更(再生計画の変更はできますか?参照)、ハードシップ免責などの場合以外、裁判所は関与しないので、認可決定によって法律上の手続きは終わります。
- Q45.元本猶予型とは何ですか?
- A45.
民事再生法に含まれている特約のことです。住宅ローンにおける猶予が受けられます。以下の特徴があります。
▶住宅ローンの返済期間が最長10年延長
▶再生計画中は利息と元本の一部が猶予
▶以前の返済不履行分が猶予 - Q46.借金に保証がついていた場合の手続きはどうなりますか?
- A46.
債権者一覧表に借金の貸主を記入しますが、借金に保証会社がついていた場合の記入方法です。鍵となるのは、保証会社がすでに代位弁済(保証者として代わりに返済)したかどうかです。
▶保証会社がすでに代位弁済した場合
保証会社を債権者一覧表に記入します。もともとの貸主は記入しません。代位弁済したことが確実な場合に限ります。
▶代位弁済がまだ、もしくは確実ではない場合
もともとの貸主と、保証会社の両方を記入します。しかし、債権額を記入する際にどちらかへの債務額を0円にします。
- Q47.給与所得者に相当するかどうかの目安は何ですか?
- A47.
小規模個人再生より再生計画の立てやすいのが給与所得者等再生です。(個人再生の中の給与所得者等再生はどのような人が利用するのですか?参照)
具体的に当てはまるかどうかの計算方法です。おもな条件となる「収入の変動が少ない」ことの具体的な例としては、前年の年収と比べて20%以内であることが目安になります。一例として、去年の年収が400万円の場合、現在の年収が320万円から480万円見込めれば大丈夫です。
普通の社員であればまず問題ないといえます。当てはまる就業形態についてはどのような職業が給与所得者等再生に相当しますか?を参照してください。
- Q48.会社員でも小規模個人再生を利用できますか?
- A48.
会社員は小規模個人再生、給与所得者等再生のどちらも申立てることが可能です。違いを比較してみると、貸主の同意が必要かどうかということです。給与所得者等再生であれば認可の際、貸主の決議が必要ないからです。(誰が個人再生の許可を出しますか?(小規模個人再生)参照)
しかし、小規模個人再生を利用した方が、無担保の借金についてより減額できるというメリットがあります。最低弁済額に違いがあるからです。
給与所得者等再生には、可処分所得とよばれる弁済額の算出方法があります。(可処分所得とはなんですか?参照)
小規模個人再生であれば、最低弁済額は借金額の20%です。(借金が500万から1500万円の場合)
計算してみると、小規模個人再生の方が最低弁済額が低くなります。清算価値保障制度の原則にも沿っている必要がありますが、貸主の同意を得られるのであれば、会社員であっても小規模個人再生を利用する方が有利といえます。
- Q49.住宅ローンに関する特則制度とはなんですか?
- A49.
借金整理法の一つですが、自宅を手放さなくてもよいことを可能にする制度で、民事再生法の中の”住宅資金貸付債権に関する特則”とよばれています。
住宅ローンの返済が難しくなってしまった場合、住宅資金特別条項を個人再生計画案に含めて申立てます。その再生案が裁判所によって認可されると、住宅ローンに関して期限猶予を得ることができます。裁判所決定なので、貸主の意思にかかわりなく手続きが行われます。
小規模個人再生、給与所得者等再生のどちらでも申立てが可能です。
- Q50.担保付債権とはなんですか?
- A50.
自己再生手続きに含めることのできる借金のことを再生債権と言いますが、担保付債権は再生債権に含まれません。不動産などで、抵当に入っているなど担保が付いている借金のことです。
担保付債権の貸主には別除権と呼ばれる、他の貸主とは別に返済を受ける権利があるからです。
しかし、経済状況の変化によって借金額が抵当価値より下がってしまった分については、再生債権に含めることができます。つまり、個人再生できる借金になります。
- Q51.異議の留保とはなんですか?
- A51.
債権者一覧表に、異議の留保というチェック欄があります。印をつけて提出した場合、後から債権者一覧表に記入した金額に異議申立てをすることができます。
貸主の協力を得られないために、借金の正確な引き直し計算ができないこともありますし、推定額を記入する場合もあります。貸主からの申立てがなければ、債権者一覧表の金額で手続きが進むので、記入額が実際の借金より多かった場合に困ったことになりかねません。
そうした場合に備えて、異議の留保の有無の欄で、チェックを入れておくことで変更が可能になります。
- Q52.必要な申立て書類は何ですか?(給与所得者等再生の場合)
- A52.
小規模個人再生の申立てに必要な書類(必要な申立て書類は何ですか?(小規模個人再生の場合)参照)とほぼ同じです。
相違点としては、申立書を記入する時点で、給与所得者等再生に該当しない場合(給与所得者に相当するかどうかの目安は何ですか?参照)のために、小規模個人再生か通常の個人再生の手続きを希望する旨を伝えます。再生手続開始申立書の中にチェック欄があります。
安定した収入の有無が目安となるので、職業について詳細な情報が必要です。陳述書の収入についての記載は添付する給与明細書や源泉徴収票のとおり、正確に記入します。
申立ての際の書式そのものが小規模個人再生のものとは異なっています。
- Q53.債権者一覧表にはどんな内容を記入しますか?①
- A53.
個人再生申立て時に提出(必要な申立て書類は何ですか?参照)する債権者一覧表には以下の内容を記入します。
▶貸主の氏名・名称
▶貸主の住所・連絡先
▶現在借金額
▶借金の理由
▶異議の留保の有無(異議の留保とはなんですか?参照) - Q54.債権者一覧表にはどんな内容を記入しますか?②
- A54.
債権者一覧表にはどんな内容を記入しますか?①に続いて、個人再生申立て時の書類に記入する内容です。
▶住宅資金貸付債権(住宅ローンに関する特則制度とはなんですか?参照)
▶別除権付債権(担保付債権とはなんですか?参照)
▶再生債権の総額債権者一覧表については小規模個人再生と給与所得者等再生は同じ書式が使われています。
- Q55.債権者一覧表の記入方法は?
- A55.
債権者一覧表(債権者一覧表にはどんな内容を記入しますか?①参照)に記入する際のいくつかの注意点や記入方法についてご紹介します。
貸主の名前や名称を記入するときは、会社のブランド通称名ではなく、正確な社名である必要があります。また、称号を持つ個人が貸主の場合は「***こと(氏名)」と書きます。貸金業者の連絡先も、自分の担当部署となっている先の連絡先である必要があります。
金額ですが、利息引き直し計算後の借金額を記入します。
契約の日付・種別については、「平成*年*月*日金銭借り入れ(カードであれば立替払い)」と記載します。
預金通帳や取引明細書などを参考にしますが、正確な情報が不足している場合は、貸主に情報の開示を求めます。
- Q56.不動産の時価はどのように計算しますか?
- A56.
個人再生の手続きにおいて清算価値として計算される不動産の時価(清算価値にはどんなものが含まれますか?参照)の算出方法です。裁判所によってどの方法をとるかは異なりますが、おもに以下の二つの方法によって額が出されます。
▶裁判所がいくつかの不動産会社に査定を依頼する
▶固定資産税評価額に一定の倍率をかけた額申立て先の裁判所がどの方法で算出するかを問い合わせる必要があります。固定資産税評価証明書を自分で取得しておくこともできます。
- Q57.給与所得者等再生において貸主は異議を申し立てられますか?
- A57.
小規模個人再生においては貸主の合意が条件となっています。(誰が個人再生の許可を出しますか?参照)しかし、給与所得者等再生の場合は貸主の異議は認められていません。不認可事由(不認可事由とは何ですか?参照)に相当するかどうかが争点となります。
給与所得者等再生の返済額の算出方法が法律によって厳密に定められているからです。(可処分所得とは何ですか?参照)妥当な再生案であることが法律で保証されるため、小規模個人再生より手続きが簡素化されています。つまり、借金者が最低限の生活をしながら返済することが明らかなため、貸主には意義をさしはさむことができません。
貸主が、裁判所に意見書を提出することは可能です。この際、不認可事由に相当することについてのみ意見することができ、具体的な理由が明らかであれば考慮されます。単なる再生計画への意義は認められていません。
不認可事由についての証拠を提出することが必要です。提出後は、再生計画を認可するかどうか、裁判所の判断を待つことになります。
- Q58.法定代位とは何のことですか?
- A58.
借金者の住宅ローンを保証人が返済した場合に、保証人が住宅にかかわる権利を有するようになることを法定代位といいます。ローン先の金融機関が所有していた抵当権などを弁済者が取得することができます。
法定代位によって得た権利については、住宅ローンに関する特則(住宅ローンに関する特則制度とは何ですか?参照)適用外です。
- Q59.必要書類の部数は何枚ですか?
- A59.
個人再生申立ての際の書類一式は、裁判所に2通ずつ提出します。(下記参照)
▶必要な申立て書類は何ですか?(給与所得者等再生の場合)
▶必要な申立て書類は何ですか?(小規模個人再生の場合)
再生委員が選任されることがあるからです。債権者一覧表については、貸主(債権者)の数だけ提出する必要があります。2通提出するといっても、通常は原本1通とコピー1通で大丈夫です。書類によっては2通とも原本、もしくは2通ともコピーというケースもあります。裁判所によって異なるので確認してください。
申立書・陳述書などは自分控え用をとっておくことが勧められます。
- Q60.可処分所得を算出する際の生活費はいくらですか?
- A60.
可処分所得(可処分所得とはなんですか?参照)の金額を算出する際に、最低生活費が年収から引きます。生活費に含まれる金額は法律で定められています。おおよその目安は以下のとおりです。
個人別生活費は年齢によりますが、一人一年間34万円から50万円程度です。学生や高齢者の生活費は比較的高く設定されています。世帯別生活費は、4人家族の場合一年間70万円ほどです。冬季特別生活費と住居費は住んでいる地域や気候によって大幅に異なります。勤労必要経費も居住地域と収入によって定められています。東京在住の4人家族で55万円ほどです。
以上はあくまでも目安です。それぞれの地区、年齢、収入で金額は異なります。物価の変化で変更されれることもあります。法務省のホームページで確認してください。
- Q61.個人再生の主な3つの仕組みとは?
- A61.
個人民事再生とひとくくりに言っても、幾つかの制度が含まれています。主に以下の3つの手続きによって成り立っています。
①小規模個人再生(返済期間終了後、残りの借金はどうなりますか?参照)
②給与所得者等再生(給与所得者に相当するかどうかの目安は何ですか?参照)
③住宅ローンに関する特則(住宅ローンに関する特則制度とはなんですか?参照)
①②の制度については個人のみ、住宅ローンを含まない借金(無担保)が5,000万円以下の場合に利用できます。住宅ローンの借金を抱えた人は、小規模個人再生もしくは給与所得者等再生のどちらかに住宅資金特別条項を含めて申立てるか、借金が住宅ローンのみであれば、この特則を利用した個人民事再生手続きを申立てる事ができます。
- Q62.貸主が個人再生申立てをすることも可能ですか?
- A62.
自己破産では貸主が自己破産の申立をすることも可能ですが、個人再生では借金者のみ申立てる事ができます。
個人民事再生と異なり、通常の民事再生手続開始の申立てであれば、貸主も申立てる事が可能です。その場合に、再生手続開始決定が出る前に借金者が小規模個人再生もしくは給与所得者等再生を求めれば、再生手続開始決定を得ることができることもあります。
- Q63.どのような立場の人が個人再生を利用できませんか?
- A63.
主婦は圧倒的に不利です。通常、小規模個人再生も給与所得者等再生も利用できません。本人に収入がないからです。
以下に当てはまる場合は給与所得者等再生の条件には当てはまりません。
(どのような職業が給与所得者等再生に相当しますか?参照)▶フリーター
▶歩合比率の高い契約社員 給与所得者等再生が利用できない場合でも、小規模個人再生は可能です。(会社員でも小規模個人再生を利用できますか?参照)
- Q64.代位弁済後は住宅ローンに関する特則が利用できませんか?
- A64.
住宅ローンの支払いができなくなった場合、保証会社が代わりに返済します。
代位弁済といいます。(借金に保証がついていた場合の手続きはどうなりますか?参照)
この後は法定代位といって(法定代位とは何のことですか?参照)住宅に関する権利が保証会社に移ります。
この際、住宅ローンに関する特則を適用すると、代位弁済ができません。
住宅ローンに関する特則を利用した個人再生計画は、この代位弁済後6ヶ月以内に限って申立る事ができると民事再生法で定められています。
6ヶ月以上たってしまった場合、マイホームを手放さなくてはならなくなってしまいます。
(住宅ローンに関する特則制度とはなんですか?参照) - Q65.陳述書には何を記入しますか?
- A65.
個人再生申立時に提出する陳述書には以下の内容を記入します。(必要な申立て書類は何ですか?(小規模個人再生の場合)参照)
▶借金者の職業
▶収入(月収・ボーナスの有無と支給時期)
▶生活状況
▶財産の有無
▶借金状況以上の項目ごとに、現在の職に就業した時期、家族構成、住まいがマイホームか賃貸かなどを記入します。
- Q66.マイホームが競売に出されそうな時の対処法は?
- A66.
住宅ローンの抵当権によって、(法定代位とは何のことですか?参照)ローンが払えなくなった自宅が競売手続きに出される可能性があります。
保証会社によって代位弁済がなされた場合などです。(代位弁済後は住宅ローンに関する特則が利用できませんか?参照) 民事再生法によって、競売手続中止命令を裁判所から出してもらうことができます。
代位弁済から6ヶ月以内に住宅資金特別条項(住宅ローンに関する特則制度とはなんですか?参照)を含めた個人再生案を申し立てることで、この命令が出されます。
- Q67.競売中止命令は誰にでも出してもらえますか?
- A67.
競売中止の命令を出す前に、(マイホームが競売に出されそうな時の対処法は?参照)裁判所は競売を申立てた保証会社へ意見聴取を行います。
個人再生の可否が検討され、借金再生の可能性がない場合には競売手続中止命令が取り消されます。
代位弁済後6ヶ月以内に個人再生を申立てても、競売中止命令が出されて再生案どおりにマイホームを手放さずにすむかどうかの保証はありません。
- Q68.住宅資金特別条項において貸主の同意を必要としない場合は?
- A68.
住宅資金特別条項を申立てる際に、(住宅ローンに関する特則制度とは何ですか?参照)貸主の同意を必要とする場合と、必要としない場合があります。以下の条件に当てはまる場合、同意不要と法律で定められています。
▶期限の利益回復型
▶最終弁済期延長型
▶元本猶予型この他に、そのまま型と呼ばれる場合があります。個人再生の申立て時に住宅ローンの支払いについてはそのまま続けることへの許可を求める(弁済許可の申立て)必要があります。再生手続が始まると、返済が禁止されているからです。
- Q69.再生計画案には何が含まれますか?
- A69.
個人再生の申立てに必要な書類に再生計画案があります。以下の項目を記入します。
▶再生債権に対する権利の変更
▶共益債権および一般優先債権の弁済方法
▶住宅資金特別条項の有無(住宅ローンに関する特則制度とはなんですか?参照)所定の書式に、チェックを入れて記入していきます。住宅資金特別条項の申立をする場合は、物件目録と抵当権目録の内容を記入する必要があります
- Q70.物件目録・抵当権目録に記入する内容は?
- A70.
物件目録には、所有している物件についての情報を記入します。具体的には以下の内容です。記入の際は、不動産登記事項証明書、契約書を参考にできます。
▶住所
▶家屋番号
▶住宅種類・構造・床面積
▶敷地の地番・地目・地籍抵当権目録には、住宅ローンの借金を担保するための抵当権について、貸主名・借金の日付・登記簿上の借金額・利息・損害金・登記番号などの情報が必要です。
- Q71.住宅ローンに関する特則を利用できる住宅の条件は?
- A71.
個人再生制度の特色ともいえる住宅ローンに関する特則を適用できる住宅は、以下の条件を満たしている必要があります。(住宅ローンに関する特則制度とはなんですか?)
▶個人所有の住宅である
本人所有の建物に限ります。借金が敷地の資金であった場合は、建物に抵当権がついている必要があります。対象の住宅に、現在本人が住んでいるか、またその予定があれば大丈夫です。
▶建物面積の2分の1以上を本人が居住するために使っている
店舗や事務所が同じ建物内にある場合の条件です。
- Q72.通常民事再生と個人民事再生の違いは?①
- A72.
最も大きな違いとしては、通常民事再生が借金を抱えながらも再建を目的とした企業を対象に制定されたのに対し、借金が比較的少額の個人や自営業の人のための手続きが個人民事再生です。
民事再生手続は、他の倒産処理より短期間で手続できる制度です。それでも裁判所が関与して、貸主のための債権者集会が開かれるなどの経緯を経て再生計画案をまとめる通常民事再生は、時間も手間もかかるといえます。それに対し、個人民事再生は、制度が簡略化されており、より短期間で手続きできるようになっているからです。
自己破産と違って、借金者が財産に対して権利を持ち続けることのできる民事再生の特徴と共通して、個人民事再生も自宅を手放さないで借金整理をすることができる制度となっています。
- Q73.通常民事再生と個人民事再生の違いは?②
- A73.
通常民事再生と個人民事再生の違いは?①に続いて、手続・予納金の違いをあげることができます。
通常民事再生では、貸主が借金額を裁判所に届け出ること、借金額が定まらない場合は訴訟をすること、再生計画案のために債権者集会を開くことなどが必要です。個人民事再生ではこうした手続は省略されていまので、貸主の負担が少ない制度です。借金者の側で主に手続を行います。その分、貸主が納得するための条件が法律で定められています。
通常民事再生の場合、予納金として最低でも200万円ほど裁判所に払う必要があります。個人再生では、手続を監督する監督委員や管財人がなくてもよい分、予納金が低く設定されています。再生委員をつけた場合でも、報酬として十数万ー二十万円台の予納金となっています。詳しい金額は裁判所に確認してください。
- Q74.期限の利益回復型とは?
- A74.
利息の引き直し計算に加えて、個人再生制度を利用する際に借金の返済の負担を減らす方法の一つ、利益の回復型についてです。住宅ローンの貸主の同意を必要としない場合です。(住宅資金特別条項において貸主の同意を必要としない場合は?参照)
住宅ローンも含め、返済中の支払いが滞った場合に、全額を一括返済する原則を期限の利益の喪失といいます。この状態から、返済を続けられる状態に戻す際の仕組みが期限の利益回復型とよばれています。
この制度を利用する条件は、返済が滞った分の再生計画を立て、期間内に分割返済していくこと、もともとの住宅ローンの支払いを続けることです。通常の返済と、滞納分の分割での支払いをしていくことになります。
- Q75.最終弁済期延長型はどんな仕組みですか?
- A75.
貸主の同意を必要としないタイプの個人再生の、最長弁済期延長型についてです。(住宅資金特別条項において貸主の同意を必要としない場合は?参照)
住宅ローンの返済期間を、もともとの期限より最長10年間延長できる仕組みです。返済が滞った場合の滞納分も、返済しますが、延長された期間内での返済になります。期間を延ばすことで返済の負担を軽減できる制度です。
利用条件としては、延長された期間の終わりの時点で借金者が70歳以下である必要があります。住宅ローンなどの返済は35年など長期のものが多いので、自分の年齢でどの程度この制度を利用することが可能かどうか確認してください。
- Q76.同意不要型個人再生を利用できなかった場合は?
- A76.
法律で定められている貸主の同意不要型の個人再生3つの方法についてご紹介しました。
▶元本猶予型とは何ですか?
▶期限の利益回復型とは?
▶最終弁済期延長型はどんな仕組みですか?
以上の制度が利用できない場合、貸主の合意を得られるかが最後の手段といえます。以上の制度の枠外でも、貸主の合意が得られれば個人再生を利用することができます。借金者と、貸主での話し合いによって可能となります。
話し合いにおいては、貸主が、いくつかの条件をクリアした上で、返済の可能性が高いと判断すれば、同意を得ることができるかもしれません。その条件については以後の記事でご紹介します。
- Q77.住宅資金特別条項の対象となる住宅ローンの条件は?
- A77.
個人再生において、住宅ローンに関する特則制度を利用する場合に、以下の条件を含んだ住宅ローンが設定されている必要があります。住宅ローンに関する特則制度とはなんですか?
ローンが住宅の建設、購入、改良目的の資金である
分割返済で設定されている
担保として抵当権が設定されている(法定代位とは何のことですか?) - Q78.巻き戻し条項とは何ですか?
- A78.
個人再生案に住宅ローンに関する特則制度を利用する際に提出する必要のある、(住宅ローンに関する特則制度とはなんですか?参照)いくつかの追記記載事項があります。
その一つに、住宅資金特別条項の対象となる住宅資金貸付債権を所有している貸主・もしくは巻き戻し条項によって住宅資金貸付債権を持つ者の氏名・住所があります。
巻き戻し条項とは、住宅資金特別条項を含む再生案が認可された時点で、保証会社がすでに貸主に対して弁済していた場合に、(借金に保証がついていた場合の手続きはどうなりますか?参照)その保証行為が履行されていなかったとみなされる規定です。
- Q79.住宅ローンに関する特則の対象にならないローンの条件は?
- A79.
住宅資金特別条項の対象になる債権の条件に対し(住宅資金特別条項の対象となる住宅ローンの条件は?参照)対象にならないローンの条件もあります
住宅に他の担保権が設定されている
法定代位によって住宅ローン債権を得た場合
保証会社によって保証されてから6か月経過している
こうした、例外的に住宅ローンに関する特則を利用できない場合があるので、再生案を計画しているローンが当てはまるかどうか専門家に事前に確認してください。 - Q80.住宅資金特別条項に必要な添付書類は?①
- A80.
住宅資金特別条項を含めた再生案(住宅ローンに関する特則制度とはなんですか?参照)を申し立てる場合は以下の添付書類が必要です。
▶住宅資金貸付契約の書面のコピー
▶住宅資金貸付契約における、各返済時期と、その金額の書面
▶不動産の登記簿謄本(住宅とその敷地) - Q81.住宅資金特別条項に必要な添付書類は?②
- A81.
住宅資金特別条項に必要な添付書類は?①に続き、住宅資金特別条項を申し立てる際に必要な添付書類です。
▶住宅・敷地以外の不動産で抵当権が設定されているものがある場合、その登記簿謄本
▶自宅兼事務所などの場合、借金者が住居のために使用している部分の床面積を証明する書類
▶保証会社が代位弁済した場合、その保証債務が終了した日付を証明する書類(代位弁済後は住宅ローンに関する特則が利用できませんか?参照)
- Q82.陳述書とは何ですか?
- A82.
陳述書という書面は、民事訴訟であれば、通常尋問内容を明確にするために用意する証拠のひとつです。これに対して、自己破産手続きに於いては、裁判官の審問あるいは管財人との面接の際に参考にする資料ということになります。陳述書には、債務を負うに至った事情、なぜ会社経営がうまくいかなかくなったのか、についてできるかぎり詳しく書くことが求められています。
☆陳述書サンプル☆
1.初めて借金をした事情
私が、初めて借金をしたのは、結婚前の25歳のころです。当時入社3年目で、給料もそれほど高くなかったのに、社内でも後輩ができ、たまに飲みに行ったりしたときについつい気持ちが大きくなっておごってしまい、生活費が足りなくなって持っていたクレジットカードのキャッシングを利用したのがきっかけでした。2.債務を負った事情について
私は、20歳を過ぎたころから、パチンコ癖がついてしまい、休日はほとんどパチンコへ行く月もあるほどパチンコに行ってしまいます。平均して、1回につき2万円程度使ってしまい、多い月は10万円も使ってしまっていました。当時は実家暮らしだったので、特にそれでもなんとか生活はできていましたが、借り入れてパチンコへ行くこともあり、少しずつ借金が増えていきました。
27歳くらいから、今の妻と交際するようになりました。その時には、すでに100万円程度の借金があり、毎月3万円ほどの返済をしていました。そして、妻とデートに行くときには、男らしいところを見せたいと思ってしまい、おごることも多くありました。
28歳で結婚をしました。結婚式の費用として、全く貯えもなかった私は、妻には費用を出せないことを言うこともできず、松山田銀行からブライダルローンとして、100万円を借り入れました。この時300万円程度の借金となっており、毎月5万円の支払いとなっておりました。ただし、この時には、給与も28万円程度あり、妻も働いておりましたので、返済はできておりました。
29歳になって第1子を授かりました。この時、妻がそれまで務めた会社を退職しました。この頃から、だんだんと支払いが厳しいと感じるようになりました。
33歳になり、第2子を授かりました。妻がやっと仕事に出れるかと思っていた矢先に、第2子の妊娠がわかり、その後も働きに出ることができずに収入は私の給与のみでした。
34歳になり、自宅を購入することになりました。それまでの家賃とほぼ同様の金額で住宅ローンの支払いができるとのことだったので、不動産を購入した方が後々有利だと考えたからです。
35歳になり、休日には、それまで子供と遊ぶ時間を作るために、パチンコへ行くことも少なくなってはいましたが、そのころから、借金のことや仕事上のことで、一人になりたいと思うことが多くなってしまい、言い訳を付けて、一人でパチンコに出掛けることもおおくなってしまいました。この時は、自転車操業状態でしたが、後先は考えずに、借り入れをしてパチンコをしてしまっていたと思います。3.個人再生を申し立てるに至った事情
今年に入り、支払いを滞ってしまい、かつ新規の借り入れもできなくなりました。そこで、督促状が自宅に届いてしまい、借金のことが妻の知るところとなりました。一時離婚問題にまで発展しましたが、今までの借金の積み重ねのことをすべて話し、妻の両親にも事情を説明しました。結果、私自身で何とかする、ということで納得してもらいました。
そこで、必死にいろいろと借金処理について情報を収集し、個人再生という方法があることを知り、弁護士の先生に相談した次第です。4.債権者へのお詫びの気持ち
若いころからのパチンコ癖と、生来のいい恰好をしたいという性格から、借金が増えてしまった点は大きいと思います。債権者の皆様には大変なご迷惑をおかけすることになり、本当に申し訳なく思っております。これからは、子供二人と妻をこの手で守り、地道に生活を送っていきたいと思っております。
何卒私の個人再生をお認めいただきたくお願いする次第です - Q83.個人再生と生活保護
- A83.
個人再生の場合、定期的な収入が認可の要件になっています。
この点、年金は、定期的な収入として認められるのですが、生活保護の場合は、定期的な収入とは認められません。
なぜなら、生活保護の場合は、支給される金員は、あくまでも生活のためのものであって、返済のためのものではないからです。
ところで、生活保護を受けている場合、借金があったらどうしたらよいでしょうか。
この場合は、迷わず自己破産をするということになります。
この場合の弁護士費用は、法テラスが全額に亘って支給してくれることになっています。
債権者のためにも、早めの処理が必要ですから、どうぞ生活保護を受給していらっしゃる場合は、自己破産を選択してください。